ギターやベースなんかのいわゆる竿モノ楽器奏者にとって楽器の増加に伴うスペースの確保は避けては通れない道です。
1本が2本に、2本が3本にと増えていくに連れて埋まるスペース・・・。
家に所狭しとスタンドにギターやベースが立ててある状況は生活も大変です。
そこで、今回はかなり安価で賃貸でも壁に穴を開ける事無く、楽器を壁掛け出来るようにしてみました!
完成系はかなりおしゃれに、それでいて楽器屋さんのように美しいディスプレイで大事な楽器を掛けて保管できます!
ギター/ベースのスペース問題を壁掛けで解決
先述したように楽器というのは一般的に管理が非常に大変です。
日本の住宅事情を考えると、かなり手狭でスペース確保が大変&賃貸は原状復帰義務があるため釘やネジを直接打ち込む訳にはいかず。
海外の住宅事情は分からない部分が多いし国や地域によって大いに異なるでしょうからなんとも言えませんが、少なくとも楽器に取って快適か否かで言うと後者でしょう。
僕の一部の楽器の保管状況ですが、これでも所持楽器のごく一部。
全部を床置きしていたんじゃ床がいくらあっても足りません。
そこで僕ら楽器奏者は、自分の相棒とも言えるべき楽器が少しでも快適になるようにしてあげなければなりません。
日本の地震事情
日本というのは諸外国に比べ非常に地震が多い国です。
調べてみると日本は震度1以上の地震は年間なんと2,000回前後、更に震度4以上の地震は平均週1回ぐらいのペースで発生しています。
地震は楽器の転倒を招く恐れがあり、特に本数が多いと楽器がドミノ式に倒れる危険性も。
ギターやベースは本当に緻密な計算で作られた楽器で、ストリングポストからブリッジまでの弦の張力を絶妙なバランスで保ち、かつネックが反れたりしないようにしっかりとボディとネックを固定し、その上で良い音を出すという気の遠くなるような作りになっています。
当然転倒等で衝撃を与える事は最も避けたい事故と言えます。
壁掛けという選択肢
そこで思いつくのがギターやベースを壁に掛けて保管する、という選択肢です。
壁掛けは楽器屋さんのディスプレイでも当たり前のように行われている方法ですね。
この壁掛けの非常に良い点として、楽器に最も負荷が無く保管できるという点です。
このような一般的なギタースタンドだと、下部のボディ2点とネック1点の3点で支える形になります。
ただし下部2点はボディを支えているだけで、後ろ方向へ掛かるギター全体に重さを担っているのは主にネックの部分。
そう、竿モノ楽器の最もデリケートな部分で自身の体重全てを支えているんです。
これは結果的にギターやベースのネックの反り、とりわけ順反り(正面方向への反り)を招くことになりかねません。
それに対して壁掛けの場合、通常ネックの先端部分にあるヘッド部分の広がりを利用し吊るす形で保管します。
この方法だと楽器は重力に逆らわず力が真下に向かうので、支えている点数は先述したギタースタンドより少ないにも関わらず楽器そのもの、とりわけネックにとって非常に快適な環境となります。
ただし冒頭でも触れた通り、持ち家でも無い限りいきなり壁にネジを打ち込むのは難しい話です。
僕も戸建住宅ではありますが賃貸な為、壁に自由に穴を開ける事は出来ません。
そこで色々調べているうちに2×4(ツーバイフォー)材という木材を使うディアウォールという製品を見つけました。
ディアウォールで気軽に壁掛けギタースタンド
ディアウォールは若井産業株式会社という会社の製品で、ざっくり言えば2×4材という比較的安価な木材を使って賃貸でも気軽に壁掛け収納みたいな物を作れるよ!という製品です。
これを使うと何もなかった場所に簡単に木材の柱を増設出来るので、例えば2本建てて間に棚板を設置すれば簡単に棚が出来るというもの。
これ、本当天才的な発想ですよね!
釘やネジが打てない賃貸なら、釘やネジが打てる柱を増やそう!ってのは凄いアイディアだと思いました、まさに日本の賃貸住宅事情にぴったり!
今回はこれを棚ではなく壁掛けギタースタンドの柱として利用する事にしました。
ディアウォール
まず必要となるのは今回の要とも言えるディアウォール。
これはホームセンターなんかでも気軽に手に入ります。
また当然Amazonや楽天等でも取り扱いがありますので、急ぎではない場合通販が気軽で良いと思います。
- ホワイト
- ライトブラウン
- ダークブラウン
- ブラック
全部で4色展開です。
コーディネートしたいお部屋の雰囲気や、木材の雰囲気に合わせて色が選べるのは嬉しいポイント。
僕はリビング家具をウォールナットで統一してる事もあり、今回はダークブラウンをチョイスしました。
サイズ違いに注意!
ここで絶対に気をつけて欲しい事が、必ず2×4材用のディアウォールを確認して購入して欲しいという事。
というのも、ディアウォールには幾つか種類があり1×4材用や2×6材用の物もあります。
前者は2×4材より薄いので耐久力に疑問がありますし、後者は2×4材よりコストがかかります。
少なくとも僕が実際に設置してみた所感では強度的には2×4材で十分だと感じています。
もちろん2×6材で導入しても良いのですが、コストが上乗せされる事は覚えておいて下さい。
2×4材
次に必要なのがディアウォールを取り付ける木材です。
これもホームセンターがメジャーな取り扱い店になると思います。
2×4材は個人のDIYユーザーにも人気が高いようで、基本的にホームセンターの多くにDIYコーナーと称して加工済み木材が販売されている事が多いようです(ちなみにディアウォールもDIYコーナーにある事が多いです)。
安価な2×4材の場合数百円で用意されている事もあり、また綺麗に研磨されている物もありました。
それだけでなくディアウォールで利用する事を想定したような元から棚を設置出来るように溝が掘られている商品もあり、ディアウォールって本当考え方次第で色々な使い方が出来るなと思いました笑。
ただ僕の場合自宅の壁から天井までの距離がぴったり2,400mmだったんですが、ホームセンターでの取り扱いは6フィート(約183cm)の物がほとんど。
今回ウォールナット調で作りたいと思っていたんですが個人で塗装はめんどくさいので、出来れば元から塗装済みの物が良いなと漠然と考えていたんですが、ホームセンターにはまずありません。
一応白と黒は結構綺麗に塗装された物を見たんですが、ウォールナットを謳う物はお世辞にも良い状態とは言えずしかも6フィートが最大。
これは無塗装の2×4材買って自分で塗装するしか・・・と思って試しにググって見るとありました、木材の通販。
僕が使ったのはこちらのサイト。
木材販売サイトは多々あるんですが、早ければ翌日出荷してくれるようで凄い速さで手に入るのでオススメです!
またサイトによっては今回僕が必要な2,400mmに対応していなかったり、ウォールナット調の塗装が無かったりするのでご自身の希望にあったサイトを探して見ると良いと思います。
こちらが実際に我が家に届いた木材。
サイトに掲載されているウォールナット調が僕が想定した色よりも遥かに薄くそれだったらダークブラウンの方が近そうなのでダークブラウンを選択しました。
高級木材?というグレードですがぶっちゃけ高級か?という感想ですが、正直柱にそこまで着目して見る事は無いので十分許容範囲。
連日の暑さの為か、届いた時点で木材同士が少しくっついていて若干塗料が剥がれてしまってる部分ありますね・・・笑。
僕がリビングに置いているダイニングテーブルがこんな感じのウォールナットなんですが、このテーブル25万程と値段が全然違うので一概には比較できませんが見比べると高級とは言い難いかな・・・
ちなみに1本1,200円+配送料が1本辺り200円。
▶ SPF材 塗装木材 | ウッドデッキ用木材の専門店木工ランド
僕が実際に発注した商品ページがこちらになりますが、カラーが幾つか選べてサイズがディアウォールジャストの2×4材、高さが2,400mmになります。
ディアウォールは天井の高さからマイナス45mmした長さでちょうど良いとの事だったので、今回は2,355mmにカットをお願いして発注しました。
もちろんAmazonや楽天でも一部木材を取り扱っているので、条件さえ合えばそちらの方が良いと思います。
HERCULES壁掛けギタースタンド
今回はギタースタンドでは有名なHERCULESの壁掛けギタースタンドを使っていきます。
このHERCULESの特徴はなんと言ってもオートロック機構!
横から見るとこんな感じで上下にスライドするようになっています。
ギターがホルダー部分に掛かる=重さが掛かると下へスライドします。
するとこんな感じでギターやベースの重さによって前面にあるレバーが閉まり、地震なんかで揺れた時でも楽器の落下を防ぐ事が出来ます。
個人的には楽器を支える非常な重要な部分なのでお金を掛けてHERCULESにしました。
と言っても1個2,000円しない程度です。
安価なギタースタンドに比べて少し割高ではありますが、ギターやベースそのものに直に触れる部分ですので品質のしっかりした物をオススメします。
壁への取り付けはネジによる3点留めです。
三角形の2点が上、1点が下という形で止めるので、より負荷が掛かるであろう上部2ヶ所での取り付けは安心感があります。
付属品はこちら。
基本的に右下の黒ネジのみを使用します。
左側の白い樹脂製の物は主に石膏ボードなんかに取り付ける場合の補強的な意味合いのものですので、今回のように2×4材や柱等の木材に直接打ち込む場合は使用しません。
ちなみにこちらは現在自宅で使用していたHERCULESのギタースタンド。
もちろん今回の壁掛け型と同様、本体の自重によりロックする機構が搭載されています。
通常の床置ギタースタンドも出しているので、用途によって選べるのが嬉しいですね!
あると便利な電動ドライバー
今回の壁掛けギタースタンド取り付けにあると便利、というか極力用意したいのが電動ドライバー。
木材に取り付けるに辺りHERCULES付属のネジを使うんですが、曲がらないように事前に下穴を開けるのが確実です。
これを手作業でやるってのはちょっと酷な作業です。
ギタリスト/ベーシストとあろうものが穴開けの為にキリの使い過ぎで手首を痛めたなんてシャレになんないですからね。
僕は昔気合を入れて当時確か5,000円程度した物を今でも愛用していますが、これは本当あると便利です。
ぶっちゃけ「これ何に使うの?」みたいな道具も結構あるので、こんなに良いセットである必要は一切無いです。
ちょっとした物で良いので是非この機会に一式揃えて置くと家具の組み立てやDIYに役立ちますよー!
トータルコスト4,400円程度
という事で今回は
- ディアウォール 約1,000円
- 2×4材 約1,400円
- ギタースタンド 約1,800円
合計で4,200円/1本という感じで設置が出来ました。
これを高いと見るか安いと見るか。
単品で見ると確実に割高なんですが、そこで得られるスペースを考えると投資価値として十分にあると感じました。
もちろん木材の色はこだわらないから無塗装でOKとかってなるともうちょっと安くなりますね。
ディアウォール壁掛けギタースタンド設置
それでは材料と工具も揃ったので、実際に取り付けして行こうと思います!
今回は僕の自宅スタジオ内での取り付け!
画像左側、赤いソファの上部の壁に楽器が掛かるイメージで作業して行きたいと思います。
ディアウォールの取り付けと木材の設置
まずはディアウォールを木材に取り付けて行きます。
ディアウォールを開封すると中に上部用と下部用、更に下部に設置する際の高さを調整出来るスペーサーが同梱されています。
このスペーサーは2個同梱されており、1個辺り2mmなので計4mm調整出来る形になりますね。
構造は下部は特に何かある訳ではありません、木材に履かせる靴程度に思って下さい。
もしスペーサーを使う場合はこの下部に入れます。
上記の写真は既にスペーサーを2枚入れてある状態です。
実際に木材に装着するとこんな感じになります。
当然こちら側はこれ以上下に下る余地が無いので、事実上木材の受けになるような感じですね。
反対の上部は中にスプリングが内蔵されており、ようは設置時はこのスプリングを押し込んでちょっとだけ短くし、壁面に設置した後はスプリングが伸び木材を押すことで突っ張る形になっています。
天井に向かって押し込みながら斜めに設置してあげると簡単に設置が出来ますね。
こちらは木材上部に装着した写真です。
写真だとちょっと伝わりづらいんですが、上に押し込む事で中のスプリングが縮まり少しだけ全長が短くなります。
木材はさすがに2,400mmにもなるとちょっと重量がありますが、慣れてくれば女性でも設置が出来ると思います。
特に工具や接着剤等の使用も無いですし、当然外す時は設置時と同様天井へ押し込みながら足元からずらすだけ。
この手軽さは快適ですね!模様替えや場所移動も楽ちん!
高さは45mmだと切り過ぎかも?
これは設置してから気付いたんですが、ディアウォール公式では木材を天井高から45mmカットする事を推奨していますが45mmだとちょっと遊びが多いように感じました。
僕は既に45mmカットで手元に木材が届いてしまったので今更ですが、スペーサー2枚を入れてもまだ遊びがちょっとあるのでカットは40mmぐらいがちょうど良いのではないかと思います。
最悪長い場合には自分でのこぎり等で削る事は出来ますが、切り過ぎた場合はスペーサー同様の物を自作してはめ込まねばならずちょっと大変です。
ギタースタンド設置の為に下穴加工
次にギタースタンドを設置する為の下穴を開けて行きます。
これをちゃんとやらないとネジが曲がってしまい、結果ギタースタンドそのものが曲がってしまったり強度的に問題が出てしまいます。
地味な作業ですが大切な楽器を思えば絶対やっておきたい下処理、できれば木材を設置する前に床に寝かせた状態でやるのが楽で良いです。
寝かせてギタースタンドをあてがい、穴を開けるところにこんな感じでペンで印を付けてから穴を開けるのがベストですね。
取り付け位置に注意
穴を開ける前に、取り付け位置に注意が必要です。
というのもあまりにも天井に近すぎると、このギタースタンドの形状だと上から下ろして楽器を掛ける形になるので天井にあたって楽器が入らなくなってしまいます。
なのでヘッドの長さに最低でも10cmぐらいはプラスしておきたいところ。
僕はその辺の計算を結構アバウトにやってしまったので、ヘッドがギターに比べて大きいベースだと結構天井ギリギリという感じです・・・笑。
ギタースタンド取り付け
下穴開けが終わればいよいよギタースタンドの取り付けです。
HERCULESのギタースタンドはネジが付属していますので、ネジを追加で買ったりする必要はありません。
ネジの長さは2×4材の奥行きよりも短いので誤って貫通させてしまうことはありません。
下穴を開けていれば後は簡単、その下穴にネジをいれていくだけです。
ただし先程下穴開けに使った電動ドライバーですが、いざ電動ドライバーでつけようとしたところギタースタンド側の穴の位置が思った以上に内側で、ギタースタンド部分と電動ドライバーが干渉してしまった為使用出来ませんでした。
下穴を開ける為には当然あった方が良いですが、別途長めのプラスドライバーを用意しておいた方が良さそうです(無理矢理電動ドライバーを使うと斜めになってしまうので)。
もちろん先が細い電動ドライバーなら出来るかも知れないので、お手持ちの工具の状況を見てご使用下さい!
ちなみに僕は長いドライバーを持っていなかったのでこんな感じの良くあるドライバーセットで行いました。
これも少し引っかかった部分はあるんですが、幸いネジは木材に対して垂直に入れられたのでなんとかなりました笑。
完成!実際に壁掛けギタースタンドを使ってみよう!
これで設置が完了しました、実際にギターを掛けてみたのがこちら。
本当美しいですね、ずらっと並んだ感じが本当におしゃれ!
正面から見ると良く分かるんですが、ハンガー部分がギターのヘッド形状によって斜めになりギターを地面に対して垂直に伸ばしてくれています。
例えば左のベース2本はハンガーが右上に傾いていますが、真ん中の白いギターはほぼ平行。
一番右の赤いギターに関してはヘッドの形状が違って左上がりになっています。
真横から見ればネックが2×4材に対して平行に、地面に向かってしっかり伸びている様子がわかります。
ハンガーが自由に傾くことでしっかりとギターを下に下ろす事が出来るのでネックがより自然になりますね!
地震対策の為にクッション材を導入予定
1点気になったのが、構造上どうしても壁面と距離が開いてしまうんですがその隙間が結構広いなという事。
実際に図ってみたらソリッドタイプのギターやベースの場合おおよそ9cm~10cm程度空くようです。
大きな地震が来た時には当然宙ぶらりん状態の楽器も多少は揺れてしまうので、ボディ背面が2×4材に向かってぶつかる可能性があります。
それが原因でボディに打痕が出来るというのは悔しいので、素材等色々吟味しながら近日中に2×4材側にクッション性のある何かを設置したいと考えています。
ギターの塗装の種類によっては使えない素材もありますので、この辺は気を使って用意しようと思います。
賃貸でも気軽にギター壁掛けスタンドを導入しよう!
賃貸住みにとって壁掛けというのは気軽に出来ない行動の一つです。
でもこれがあれば楽器はもちろん、時計とかポスターなんかも気軽に壁掛け出来ます。
当然元から設置されている柱と違って気分によっていつでも移動出来るのでインテリア的にもメンテナンス的にもめちゃくちゃ良い選択肢だと思いました。
今後の加工次第では棚を設置したりと活用の幅が広がるので、今度はリビングにも導入して壁掛け時計を設置しようと企んでいます!。
家具を買うよりも遥かに安価に導入できるので、この機会に皆さんも是非使ってみて下さい!
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