今や誰でもスマホを持っている時代、パソコンを持っていない方でも1度や2度Wi-Fiにつないだ事ありますよね。
そんなWi-Fi、実は通信に規格があり2019年から新たにWi-Fi 6という呼称で呼ばれ始めた最新規格があります。
まだまだWi-Fi 6対応機器は少ないですが、これから新発売される機器はWi-Fi 6対応が当たり前になってくる事が予想されます。
Wi-Fi 6だと何が変わるのか、何ができるのか、またどんな機器が必要なのか徹底的に解説していきます!
Wi-Fi 6が何故おすすめなの?
Wi-Fi 6はあだ名みたいなもので、正式には「IEEE802.11ax」という名称です。
わかりにくいですよね笑。
2019年9月から正式にWi-Fi 6という呼称がリリースされ、これまで使用されていたIEEE802.11xxという形式からユーザーがより馴染みやすい名称がWi-Fi Allianceという団体によってつけられました。
つまりWi-Fi 6=IEEE802.11axです。
2019年現在このWi-Fi 6が最新で最も高速、更にこれから間違いなくWi-Fiの主流になっていく規格です。
Wi-Fi 6の特徴
Wi-Fi 6は大きな特徴として
- 最大速度の向上
- 同時処理数の拡張
- 同時接続数の拡張
- (Wi-Fi 5と比較して)帯域の増加
- 省電力化
があげられます。
最大速度の向上
あくまで理論上の数値ですが、Wi-Fi 5は最大6.9Gbps(=6,900Mbps)という速度で通信が可能でした。
対してWi-Fi 6は最大9.6Gbps(=9,600Mbps)とおよそ1.39倍の速度で通信が行えます。
Gbpsとか言われても良く分からないのでちょっとだけ分かりやすく言うと、1Gbpsは1秒間に125MBのファイルを通信できます。
Wi-Fi 6は9.6Gbps、単純に9.6倍なのでなんと1秒間に1.2GB(1,200MB)のファイルを通信できるという計算に!
例えば最新のiPhone 11 Proで1枚画像を撮ると設定にもよりますがおよそ2.5MB前後。
理論上の最高速度で通信できれば、iPhone 11 Proで撮影した画像は1秒間に480枚転送できる計算になります。
なんかこう聞くと凄く早く感じますよね笑。
もちろんあくまで理論値なのでこんな速度実際には出ませんが、Wi-Fi 5に対して確実に速度向上が期待できます。
同時処理数の拡張
Wi-Fi 5まではOFDMという方式でしたが、Wi-Fi 6からはOFDMAというテクノロジーが採用されました。
超ざっくり言うと同時に処理できる件数(ユーザー数)が増えました。
今までは通信を始めると機器(ルーター)が勝手に判断して「はい!あなたはこの場所で通信してね!」という形式でした、いわば専用道路みたいなイメージですね。
OFDNAは今まで1車線しか無かった専用道路に追い越し車線が追加されたみたいなイメージでしょうか。
複数のユーザーが同じ道路を走れる上、追い越し車線があることで他のユーザーに順番待ちが発生しても追い越し車線に移って走り続ける事が可能になります。
僕らユーザーはルーターがどのように通信しているか見ることはありませんが、この技術により複数の機器が混在する現代でも快適な通信が行えるようになっています。
もしご興味があれば、老舗メディアのINTERNET Watchさんに詳しい記事が掲載されておりましたので合わせて読んで頂ければと思います!
【Wi-Fi高速化への道】(第9回)「IEEE 802.11ax」のMU-MIMOは8ユーザーの同時通信が可能に、OFDMAも採用【ネット新技術】 – INTERNET Watch
同時接続数の拡張
こちらはMU-MIMOという技術で、Wi-Fi 5では同時に4台まで通信可能でしたがWi-Fi 6からは倍の8台まで通信できるようになりました。
単純に通信の順番待ちが減るので、より繋がりやすくなると言えます。
帯域の増加
Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)は5GHz帯という帯域のみ利用ができました。
それ以前のWi-Fi 4(IEEE802.11n)では2.4GHz/5GHz帯の両方が利用できていましたが、今回のWi-Fi 6から再度両方の帯域が利用できるようになります。
2.4GHzは障害物に強く、壁等で遮られた隣の部屋等でも快適に通信ができる一方電子レンジやBluetooth機器なんかと同じ周波数帯を使用している為、電子レンジを使っていると極端に電波が悪くなったり繋がらなくなったりする事があります。
5GHzは障害物に弱く、隣の部屋等だと状況によって電波が弱くなってしまいますが電子レンジ等とは周波数帯が異なり他の家電と干渉がし辛いメリットがあります。
最高速度も5GHzの方が速いので、基本的には機器が5GHzで使えるような場所にルーターを設置するのが良いですね!
省電力化
TWT(Target Wake Time)と言うテクノロジーで、必要な時にのみ通信する事で端末側のバッテリー節約と通信帯域の占領を防ぐというものです。
電池式のIoT機器は省電力化で長時間駆動するようになり、電池式の監視カメラのような物が今後更に増えていく事が予想されます!
もっと身近なスマホも朝フル充電で帰宅時には残り3%・・・のような事も少なくなるかも知れません笑。
Wi-Fi 6のデメリット
Wi-Fi 6を導入すると”なんとなくまあ早くなるよね”という事が分かりましたが、では逆にデメリットはどうでしょう。
言うまでも無く最大のネックはやはり機器の導入コスト、価格です。
やはり新しい規格だけありまだまだ対応するWi-FiルーターやWi-Fi子機が少ない現状。
Wi-Fi 4(IEEE802.11n)やWi-Fi 5(IEEE802.11ac)に比べ導入コストが高い傾向にあります。
しかしこれも市場に対応製品が増えてくれば自然にこなれて来て安くなってきます。
本格的に対応製品が増えてくるのは2020年になってからだと思いますが、日に日にWi-Fiの重要性は高まってきています。
お財布と相談の上、機器導入をどうすべきか検討して行きたいですね。
なお、執筆時(2019年11月24日)現在で対応している機器はスマートフォンだと
- iPhone 11 / iPhone 11 Pro / iPhone 11 Pro Max
- Galaxy 10 / Galaxy 10+
ノートパソコンだと
- ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV
- Surface Laptop 3
等があげられます。
後述しますが、デスクトップPCなら別途パーツを追加することでWi-Fi 6に対応する事が可能です。
Wi-Fi 6対応おすすめルーター
2019年現在、Wi-Fi 6に対応するオススメのWi-Fiルーターをご紹介します!
ASUS RT-AX88U
RT-AX88Uは日本で最も早くWi-Fi 6に対応したWi-Fiルーターです。Wi-Fi 6というあだ名がつく前からIEEE802.11ax対応!と発売した商品で、現在発売されているWi-Fi 6対応ルーターの中では数少ないWi-Fi 6とメッシュWi-Fiに対応しています。
メッシュWi-FiもWi-Fi 6と同様、これからIoTデバイスが増えるであろう時代に重要な機能。
Wi-Fi 6 + メッシュWi-Fiに対応しているRT-AX88Uは非常に強力なWi-Fiルーターと言えます。
Wi-Fi 6とメッシュWi-Fi両対応は超魅力的!
詳しいレビューは以下の記事を合わせてご覧下さい!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 4,804Mbps |
有線LANポート数 | 8ポート |
メッシュWi-Fi | ○ |
ゲスト機能 | ○ |
最大接続台数 | 21台 |
USBポート(NAS機能) | ○ |
ASUS ROG Rapture GT-AX11000
ASUS ROG Rapture GT-AX11000はRT-AX88Uの上位版と言えるでしょう、ASUSがリリースする最高峰のWi-Fi6対応ルーターです。 RT-AX88Uと同じくWi-Fi6に加えメッシュWi-Fiに対応、どんなに広い家でも複数組み合わせる事で快適なWi-Fi環境が構築できます!更に5GHz帯を2つに分ける事で2.4GHz、5GHz×2のトライバンド対応!
絶対に遅延させたく無い機器を専用帯域に振り分ける事で安定した環境が実現できます。
更にWAN/LAN共通ポートに2.5ギガビットポートが搭載されているので、NURO光やauひかりのような1Gbps以上の高速回線の能力も大きく引き出すことができる非常に強力な1台です!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 4,804Mbps |
有線LANポート数 | 4ポート WAN/LAN共通2.5Gポート×1 |
メッシュWi-Fi | ○ |
ゲスト機能 | ○ |
最大接続台数 | 36台 |
USBポート(NAS機能) | ○ |
TP-Link Archer AX50
めちゃくちゃ安いエントリーモデルとも言えるのが、TP-Link Archer AX50です。
1万円台前半で購入可能な唯一のWi-Fi 6ルーターで、当然安い分メッシュWi-Fiも非搭載、速度もASUS RT-AX88Uの半分。
しかし基本的に使用目的が1~2人でそれぞれYouTubeを見る程度の使い方であれば全く問題ありません。
現在最も手軽にWi-Fi 6を体験できる機種と言えます。
とにかく安くWi-Fi 6を導入したいならこれ一択!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 2,402Mbps |
有線LANポート数 | 4ポート |
メッシュWi-Fi | × |
ゲスト機能 | ○ |
最大接続数 | 256台 |
USBポート(NAS機能) | ○ |
ELECOM WRC-X3000GSA
湾のASUS、中国のTP-Linkとアジア勢が台頭するネットワーク機器争いにおいて、国産メーカーであるELECOM WRC-X3000GSAも対抗馬の一つです。
ELECOM WRC-X3000GSAの最大の特徴はアンテナ内蔵。
前2機種は両方ともアンテナが外部露出しているのに対して、ELECOM WRC-X3000GSAはアンテナが内蔵されている為非常にスッキリしており、かつ縦置き型なので非常に省スペースで設置が可能。
やはり国産メーカーだけあって日本の狭い住宅事情を考えた製品形状だと言えます。
価格も2万円をギリギリ下回っており、TP-Link Archer AX50には勝てませんが一応同価格帯製品として有力な対抗馬と言えます。
ちょっと高くても見た目のスッキリ感、自由な設置場所を選ぶのであれば非常にオススメです。
日本の住宅事情を知り尽くした国産メーカーが作ったさすがの機種ですね!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 2,402Mbps |
有線LANポート数 | 4ポート |
メッシュWi-Fi | × |
ゲスト機能 | 2.4GHz帯のみ |
最大接続数 | 36台 |
USBポート(NAS機能) | × |
Wi-Fi 6対応おすすめ子機
Wi-Fi 6は対応するルーターはもちろん、デバイス側(子機)もWi-Fi 6に対応している必要があります。
例えば現在発売されているスマートフォンはiPhone 11 / iPhone 11 Pro / iPhone 11 Pro MaxのiPhone 11シリーズのみ。
当然今後発売される新機種は順次Wi-Fi 6に対応して来る事が予想されますが、ではパソコンはどうでしょう。
残念ながら2019年11月24日現在、USBに差し込んで使うタイプのWi-Fi 6子機は発売されていません。
しかしデスクトップPCであれば、ご自身でパーツを追加する事でWi-Fi 6に対応する事ができます。
ASUS PCE-AX58BT
Wi-Fiルーターと同じく最速で発売されたのがASUS PCE-AX58BT。
Wi-Fi 6とBluetooth 5の受信機を兼ねた機種で、デスクトップPCのマザーボード上にあるPCI Express ×1というスロットに差し込んで使う拡張カードです。
僕はRT-AX88Uを使用しているので、合わせてASUS製という事でこのASUS PCE-AX58BTも愛用しています!
Wi-FiとBluetooth両方をパソコン本体に内蔵できるので、USBコネクターが開放される点もPCI型の地味に嬉しい点!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 2,402Mbps |
Bluetooth | 5.0 |
接続方法 | PCI-Express ×1 |
TP-Link Archer TX3000E
ASUS PCE-AX58BTと同じくマザーボードのPCIスロットに差し込む拡張カードがTP-Link Archer-TX3000Eです。機能もASUS製とほぼ同じで、Wi-Fi 6 + Bluetooth 5に対応。
ASUS PCE-AX58BTとの唯一の違いはLinuxに対応しているか否かでしょうか、TP-Link Archer TX3000EはWindowsのみです(大多数のユーザーには関係無いと思います・・・笑)。
価格がASUS PCE-AX58BTの半分程度なので、特にこだわりが無ければTP-Link Archer TX3000Eが現在最もオススメと言えます(ルーターがASUS製の場合は相性も考えASUS PCE-AX58BTをチョイスしてもOK)。
とにかく価格の安さが魅力!ルーターに比べ、ASUS製品と機能差はほとんどありません!
詳しいレビューは以下の記事を合わせてご覧下さい!
無線LAN対応規格 | IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax |
最大速度 | 2,402Mbps |
Bluetooth | 5.0 |
接続方法 | PCI-Express ×1 |
USBタイプ
2021年末、ついにUSB型のWi-Fi 6子機がASUSから発売されました!
延長ケーブルのようなクレードルが付属しているため、拡張に余裕の無いデスクトップPCの方にもおすすめできます。
もちろんPCIスロットに空きがある場合は先述したASUS PCE-AX58BT、TP-Link Archer-TX3000Eの方がスペックが高く高速なのでそちらがおすすめですが、手軽な選択肢が増えたのはとても嬉しいですね!
PCI拡張カード型以上に需要があり皆さんが求めているのがUSBポートに差し込むタイプの物でしょう。
このUSB型、色々なメーカーの営業さんに聞いてみたのですが、今正直難航している模様です。
今度は無線速度が早くなりすぎて、USBがボトルネック(速度低下の原因)になってしまうからというもの。
最近徐々に対応機器が増えてきたUSB Type-Cですが、3.1 Gen 2という規格に対応すれば速度は最大10Gbpsという超高速になります。
しかし今日本にあるパソコンに、果たしてそこまでUSB Type-C 3.1が普及しているかと言えば疑問符。
という事でメーカーさんもどうしようか頭を悩ませているようです、まさか有線接続のUSBがネックになり無線機器をどうするか悩むようになるとは時代も変わりましたね・・・笑。
という事で現状はもしWi-Fi 6に対応したいのであればデスクトップPCの場合はPCI拡張カード型を選んでおきましょう!
Wi-Fi 6の特徴、おすすめWi-Fiルーター&子機まとめ
Wi-Fi 6とは何か、おすすめWi-Fiルーター&子機をそれぞれご紹介しました。
これからWi-Fi 6対応製品は確実に増え、増えれば増えた分だけ自宅のWi-Fi環境がWi-Fi 6に対応している優位性があがります。
大容量通信の筆頭とも言える動画配信は今後4K/8Kという超高画質配信が本格化するでしょう。
少しでも早く、快適に使う環境が求められているのは言うまでもありません。
快適なWi-Fi環境を整えるべく、是非ご自宅にWi-Fi 6環境の導入をご検討下さい!
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